核燃料基地 六ヶ所村・1

東京新聞の「こちら特報部」欄では、粘り強く原発問題を取り上げ続けている。脱原発を標榜する新聞社に相応しい姿勢といえる。しかし、政治や経済に関する記事は、明らかに悪徳ペンタゴンの影響下にあるところが垣間見られる。そんな記事は多少裏を考えながら読むことにしているが、こと原発に関係する記事は、よく下調べをし率直に意見を述べているところは好感が持てる。下記の記事もその一つ。青森県六ケ所村の核燃料サイクル基地のレポートだ。脱原発を考える上では当然のことだが、原発を推進したい側にとっても、「核のゴミ」の問題は、避けて通れない重い現実といえる。



東京新聞・こちら特報部 2012.2.6

核燃料基地 六ヶ所村
核のゴミ封印 完成せず


 原発から出る使用済み核燃料を再処理するための核燃料サイクル基地・青森県六ケ所村。再処理の過程では危険な高レベル放射性廃液が残されるが、安全管理が課題だ。事業者の日本原燃は先月から、ガラスに混ぜて固める最終試験に再び挑んだものの、不具合で今月3日に中断した。ここには原発の推進、反対を超えて、わたしたちが避けて通れない「核のゴミ」の重い現実がある。その行く末を議論する前に、再処理工場の実態を紹介することから始めたい。

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日本原燃:青森県六ケ所村に核燃料サイクル施設を建設するために、1980年に設立された株式会社。原発のない沖縄電力を除く国内の電力会社9社が出資し、資本金は4000億円。従業員約2400人のうち、3割を電力会社からの出向が占める。歴代社長は主に東京電力出身。再処理工場は93年に着工され、既に約2兆2000億円が投じられている。
http://nekotomo.at.webry.info/201104/article_13.html

 東は太平洋、西は睦奥湾に挟まれた下北半島のつけ根にある六ケ所村。冬場は海風の影響で天候がころころ変わる。再処理工場を訪ねたのは先月24日。気温は氷点下で、いてつく風に身は縮む。太陽はすぐに雲に隠れ、雪に変わった。
 再処理工場は高い塀に囲われた日本原燃の敷地内にあった。分厚い壁に塗装された青森県のイメージカラーに似せた水色と薄緑色の縦ラインが、雪の中に浮かび上がる。
 メーンゲートでまず、身分を照会。入り□には2001年の米中枢同時テロ以降、警備する警官が立ち番していた。金属探知扉をくぐった後、一人ずつしか通れない回転扉を抜ける。ドアはIDカードをかぎさないと開かない。不審者が大勢で侵入できないようにするための厳重な措置だ。

ガラス固化試験 大幅遅れ

 中核施設「ガラス固化製造溶融炉」は、炉内の温度を上げる「熱上げ」を先月10日にスタート。ちょろどこの日朝、ガラスを溶かす試験が始まった。稼働試験はトラブルが続発し、2008年12月から中断。昨年中に再開を予定していたが、東日本大震災後の電力不足と、地震に対する安全性の再点検に追われ、今年にずれ込んでいた。
 溶融炉はバルブのような突起物の付いた3メートル四方の大きさ。内側は耐熱レンガで造られており、下部は円すい形で「流下ノズル」と呼ばれる排出口が付いている。
 ここで作られるのが、将来、地下深い最終処分場に埋設される予定の「ガラス固化体」だ。高レベル廃液とガラスを混ぜた混合液を、ステンレス製容器に流し込んで固めたものだ。円筒状で高さ1.3メートル、直経0.4メートル回の大きさだ。

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 高レベル廃液は、使用済み核燃料棒を溶かし、原発の燃料として再利用するプルトニウムとウランを抽出した後に残ったごみだ。人体に危険なセシウム137などの核分裂生成物が合まれる。
 製造工程は、粒状のガラスビーズを溶融炉に入れて、タンクからパイプを通じて廃液も投入。側面の主電極と底部の電極の間に高電圧の電流を通して、炉内の温度を1000度以上にすることでガラスを溶かす。
 廃液とガラスが混ざったら、流下ノズルから流す。混合液が排出中に冷えて固まらないように、ステンレス容器の間には、電熱線を巻いたような高周波加熱コイルが設置されて熱する。
 なぜ、ガラスなのか。日本原燃の赤坂猛広報部長(57)は「紀元前の工芸品が現在も原形をとどめるほどガラスは安定した物質。割れても廃液は流れ出さない。放射性物質を閉じ込めるのに適している」と説明した。

足踏み続く純国産技術

 だが、このガラス固化体を作る純国産の技術を日本原燃は確立できないでいる。各電力会社は技術のある英仏の会社に再処理を委託してきた。
http://nekotomo.at.webry.info/201109/article_7.html
24日からの試験は廃液を入れないガラスを溶かすだけの「最終試験をするための試験」なのに、“悲願”は25日未明に早くもつまずいた。
 排出口から流れるガラスの速度が低下した。炉内の上から直棒でかくはんしたが回復しない。排出口が詰まったとみられるが、炉からはがれたレンガか、結晶化したガラスかを確認するために結局、試験は中断された。
 溶融炉の作業は全て、中央制御室からの遠隔操作で行う。工程ごとに六つのグループに分かれ、それぞれ約80人が三交代で昼夜を問わずに作業を続ける。職員は排出□近くのカメラを監視し、炉内に増やした5つの温度計を見て電流を変えて溶融の度合いを調節する。24日は順調だったため、室内からは焦りは感じられなかった。

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尾駮沼に架かる国道338号の橋の上から望む日本原燃の再処理工場。いてつく風に、
飛来したハクチョウたちは氷上で羽根に首を丸めていた=青森県六ケ所村で


トラブル9回、また不調

 溶融試験のトラブルは過去に9回も発生している。何とか119本のガラス固化体を作り上げたが、一部は水に容けやすい化合物が混じった″“不良品”だ。試験の中断により24万ベクレルの高レベル廃液がタンクに残されたままになっている。
 「既に99%完成している」(原燃関係者)が、最後の1%をクリアできない。トラブルが最初に起きたのは、初試験の2007年11月の直後。今回と同じくガラスが排出される速度が遅くなった。この時は、非放射性の模擬廃液と混ぜていたが、炉内の温度が安定せずに金属製の元素が固まり、排出口をふさいだ。
 08年7月は、排出□にガラスがこびり付いて固まり、排出自体できなくなった。同年12月には、混合液をかき混ぜる金属製の棒が曲がり、天井のティッシュ箱大のレンガが炉内に落ちた。レンガは10年6月、新設したクレーンゲーム機に似た機械で回収できた。
 また09年1~10月は3回にわたり、パイプのつなぎ目から158リットル以上の高レベル廃液が漏れ出した。廃液が気化し、放射性物質が溶融炉のある部屋全体に付着してしまった。全ての機器を水で洗い流す除染作業に追われ、実験は長期間の中断を余儀なくされた。
 溶融炉は実は二つある。それぞれA系とB系と呼ばれ、昨年までの実験は全てA系で行われた。A系がトラブル続きだったため、今回はB系を使用したのだが、結果は同じに。B系の炉中には三年以上、ガラス原料が入れられたままだったことがトラブルを招いたという可能性もある。

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再処理工場内にある高レベル廃液をガラスに混ぜて固める溶融炉

 同じ様式の小型溶融炉の試験を、現在の日本原子力研究開発機構が茨城県東海村で成功させている。その上で、原燃が導入したが、生産性を高めるために5倍の大きさにした。「大型化にトラブルの原因があると言われても否定できない」(原燃関係者)という。
 再処理工場は08年5月の当初予定を大幅にずれ込み、今年10月の完成を予定している。本格的な稼働後は、A系とB系で一日計5本のガラス固化体を作り、年間で計500体をめざす。
 しかし、試験の再開は3月上旬以降となり、高レベル廃液を入れた安定稼働と性能が確認される条件の10月の完成は事実上厳しい。
 与党内から再処理工場の凍結を求める声も上がる。
http://nekotomo.at.webry.info/201201/article_12.html
一方、自前でガラス固化体を作れない場合、使用済み核燃料の再処理はもとより、高レベル廃液も処理できず、最終処分問題を含め混迷が深まることが予想される。

デスクメモ
 小川原湖方面から車で北上すると、広大な雪原と湖沼が続く。地吹雪が緩んだのは六ケ所村の中心部に入ってからだ。それまでの光景とは対照に近代的な建物が集中し、違和感を覚えた。原発を裏で支えてきた六ケ所はどんな所なのか。先が見通せない原子力政策。その縮図の地から読者と考えたい。

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