制御不能に陥った傍若無人大国アメリカ

「誰が小沢一郎を殺すのか?」 を読んで・1
カレル・ヴァン・ウォルフレン氏が書いた「誰が小沢一郎を殺すのか?」は、311大震災の直前に出版されているので、その後の震災・原発事故後の日本の混乱や政局の混迷(野田どぜう内閣誕生、小沢氏離党・国民の生活が第一党結成)については、触れてはいない。

しかし、孫崎 享氏の「戦後史の正体」のように、アメリカの存在抜きに日本の戦後は語れないし、「今や何故、民主党が売国的政権に成り下がってしまったのか」の答えも同様である。ウォルフレン氏も、この本のテーマにもなっている小沢氏に対する、検察やメディアからの執拗なまでの“人格破壊”攻撃は、背後にアメリカが居ることを明確に述べている。そして、アメリカに隷属する政治家・官僚・資本家・マスゴミたちがこれを表から裏から働きかけ、小沢氏への攻撃と排除を延々と繰り返してきたのだ。

金融立国(博打)で失敗してしまったアメリカは、ドルの破綻回避のために、日本国民からの資産収奪と戦争経済復活の目論見で、中東や東アジアに戦争の火種を拡大させることに余念がない。まさに、アメリカは傍若無人に振舞う制御不能の大国といえる。


「誰が小沢一郎を殺すのか?」 
カレル・ヴァン・ウォルフレン(角川書店)

第五章 戦後日米関係という病理 139

制御不能に陥った大国アメリカ 166

 しかしアメリカが制御不能な状況に陥ってしまったことは、動かしがたい事実である。オバマ大統領は、その前任者であるジョージ・W・ブッシュ政権下で加速した自国の暴走を食い止めようとも、その流れを反転させようともしなかった。日本の政治エリートたちは、まだそのことに気づいていないか、あるいは気づいたとしても、見て見ぬふりを決め込んでいる。

 そして最初の民主党政権率いる日本に対するアメリカの態度こそ、この国の政府がもはやまともに機能していないことを如実に物語るものにほかならない。将来の日米関係のあり方を決するものとして、沖縄のアメリカ海兵隊基地の移設問題を中心課題に据えたこと自体が、アメリカ政府内で東アジア地域政策を担当する役人がバランス感覚を失い、方向性を見誤っていることをはっきりと示している。彼らも、そしてアメリカの政治評論家たちも、なぜ自民党がこれまで沖縄の基地問題を手つかずにしてきたかという理由がまったくわかっていないらしい。

 その結果、日本の新政権がアメリカとの同盟関係を台無しにしている、あるいは無責任なふるまいをした、などと盛んに批判しているわけだが、その背後には、なににも増して既得権を守ろうとする、アメリカ政府内で影響力をふるう人々の思惑がある。だからこそ彼らは、日本政府が東アジア地域の問題解決に現実的に取り組もうと意欲を見せても歓迎せず、より対等な立場で純粋な同盟関係を築くチャンスが生まれたことを、評価しようともしないのである。小沢氏が反米的な人物であるかのように書き立てられていることも、アメリカ政府内の政策担当者が、だれひとりとして日本についての信頼に足る知識をそなえていないことを示す証拠である。しかも彼らは知識を欠いたうえ、小沢氏の真の動機がなんであるか、日本の専門家の助言に耳を貸そうともしないのだ。つまり、現在のアメリカの対日政策に強い影響を与えているのは、ペンタゴンと右派系シンクタンクのみということになる。

 いま日本では、アメリカの要求を受け入れるべきかという議論が行われているわけだが、その論点はふたつある。ひとつは将来、日本が中国か北朝鮮によって脅かされはしないか、という点であり、もうひとつは日本が日米安全保障条約の規定にしたがうべきかどうか、ということである。しかし、日本が将来、他国に脅かされたときにアメリカが本当に日本を保護してくれるかという問題も、また日米安全保障条約の詳細についても、現実に即して検討されているわけではない。日本の有権者は知らされていないが、日米間ではこれまでにはさまざまな裏取り引きが行われてきた。しかも日本の国会はそれに対して口出しする権利を持たなかった。そのため、日米の軍事協力の実態は日米安全保障条約に規定された内容からは大幅にかけ離れてしまったのである。つまり法的な根拠すら欠いているというのに、日本はなおもアメリカ軍のための巨額の費用を負担してやっている、というのが実情なのである。

 日米安全保障条約は、この条約自体を否定するような形で、これまで利用されてきた。日米安全保障条約こそ、一九世紀から二〇世紀初頭にかけて欧米の列強が国力にものを言わせて、アジア諸国に押しつけた「不平等条約」の現代版と呼ぶにふさわしい。これは本質的には、日本の防衛目的で利用されることを条件とする、基地賃貸契約である。しかし沖縄のアメリカ海兵隊を、日本の防衛のために使うことはできない。将来的に見ても、アメリカ海兵隊が日本の役に立つことはない。なぜなら中東や中央アジア地域に出動させるため、そして中国に対する軍事的包囲網の一環として、アメリカは沖縄に海兵隊の攻撃部隊を駐留させているからである。つまりアメリカは日米安全保障条約違反をおかしているのである。しかもアメリカは基地の賃貸料を払ってはおらず、日本に肩代わりさせている。たとえば「思いやり予算」という名目で、日本は年間二〇〇〇億円ほど[一九九九年の二七五六億円をピークに、二〇〇八年までは二〇〇〇億円を超えていたが、その後減少、二〇一〇年は一八八一億円]を拠出するほかにも、巨額の在日アメリカ軍関連経費を負担してやっているのである。だがこれは日米安全保障条約の第六条にもとづいて結ばれた日米地位協定の第二四条[基地の提供費など日本側が負担するものを除き、アメリカ軍を維持するための経費はアメリカが負担するものとした規定]に違反している。またグアム移転協定にも多くの「ごまかし」やいつわりが隠されていることは、言うまでもない。

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