「検察の罠」 小沢一郎抹殺計画の真相 ・3

『検察の罠』
小沢一郎抹殺計画の真相  森ゆうこ著
  

<小沢一郎×森ゆうこ 特別対談①>

あの西松建設事件が罪なら、どの政治家もアウト――森

森ゆうこ 改めてこの3年間を振り返ると、西松建設事件はもう「事件でさえない」ということになっています。
小沢一郎 どうなっちゃったのかね、あれも。
 ひどい話ですよね。訴因変更というウルトラCというか、あり得ない方法を使って。あのままやったらもう完全に負けだから。西松建設事件、そして陸出会事件とはいったい何だったのか。先生はどんなふうにお考えですか?
小沢 やっぱり問題は政権交代を阻止すると。何が何でもそのためには小沢を訴えて、ということなんだろうけど。たまたま僕個人が標的になったけれども、官憲というか、役所、役人が政権交代の直前に直接的に権力を濫用して政治に関与するということは、これはもう民主主義国家じゃない。暗黒政治の話でね。
 このことが一番問題であって、僕自身じゃなくて政治家みんなが、国民みんなが考えなきやいけないことです。みんな人ごとみたいに思っているけれども。
 君がよく言ってたじやない?・ 検察の機嫌取りをしなきゃ、政治家ができなくなっちゃうって。
 とくに、「ダミー団体」が問題になった西松建設事件は、おそらくみんなわかってきたと思うんですが、あれで本当に罪になるんだったら、どの政治家もアウトだなと。
小沢 全員アウトだよ。
 わかってたはずなんですね。本当にわからないっていう人は、よほど政治資金規正法がわからないのか、あるいは敢えて目をつぶろうとしているのか。
小沢 献金が一銭もなかったのか(笑)。
 ある程度の献金を団体から受けている人なら、あれは誰でも全員しょっ引かれます。
小沢 そうそう。とくに労働組合なんかみんなそうだよね。あれはみんな産別組合で集めた金で献金しているわけだから。
 そうなると、誰をターゲットにするか、どの献金を事件化するかはすべて検察、先生のおっしゃった官憲の思し召し次第。
小沢 検察・警察は最たるものだけど、日本ではその他の部分でも役人の裁量が多すぎるんです。役人の鉛筆のナメ次第でどうにでもなると。税務署なんかわかりやすい例でしょう。
 税務署の職員の裁量で課税されたり、これは経費と認めるとか認めないとか。法律の規定そのものが非常に幅が広すぎて、役人に裁債権を持たせすぎる。これが日本のいろいろな矛盾や癒着の最大の原因。それは、人間社会ではなかなか杓子定規にはいかない部分もあるから、多少のフレキシブルな裁量権というのはしょうがないんだけど、あまりにも多すぎる。何でも役人の思い通りになる。
 この仕組みが根本的な問題で、その最も典型的で象徴的な、そして民主政治に対する影響が強い例が今回の事件なんだね。
 そうですね。だから私としては、これは小沢先生個人をターゲットにしたものではなくて、政権交代阻止が狙いで、このまま放置したら大変だということで檄文を書いて、すべての民主党の総支部に配りたいと。だいぶ先生にもご相談したわけですけれども、あそこまでメディアスクラムを組んでやられてしまうと、もう党内世論が「小沢さん、犠牲になってください」と。
小沢 そうそう、僕が生け贅で、それで収めてくださいとなっちゃうな(笑)。
 でも、私はそれは絶対に違うと思う。小沢先生が他の人たちよりも並外れて力がおありになるから、余計そうだったと私は思うんですけれども、戦うときには大将の首を取ったほうが勝ちなわけですよね。
 これは鳩山先生にも申し上げましたが。とくに小沢先生のような大将の首取られたら、たとえ政権交代が実現しても、そのあとはどうなるか想像できるなあと思ったので。「絶対にここは闘うべきだ」ってみんなに言って回ったんですけど、残念ながらあの時はやはり無理だったんですかね。
小沢 そうねえ。これは僕が言ってるんじゃないけど、政権に対する批判も、結局はそういう民主党の体質に原因があるんじゃないの? 今のような政権だったら、別に役人は心配する必要なかった(笑)。
 本当ですね(笑)。
小沢 やっぱりもっとドラスティックな、革命的なことをやられるんじゃないかという、その心配だったわけだから。その意味では、政権交代後の民主党について非常に危惧の念を持ってるけどね。

大衆は愚にして賢。だから民主党は支持が減っている――小沢

 結局は先生が代表の座を降りて、それで政権交代が成就したわけです。それでも先生が幹事長兼無任所の国務大臣として閣内に入るという、少なくともそういうかたちであれば、ここまでひどい状況にはならなかっただろうなと思ったんですけれども。いかがですか。なかなかお答えづらいとは思うんですが。
小沢 政権交代前のネクストキャビネットのときから、幹事長は内閣に入ってたんだよね、副総理として。マニフェストなんて今はもう影も形も見えないけど、マニフェストの中でも内閣の再構成はすることになってたわけだ、政府・与党一体というね。
 だけど、あのときどういう風の吹き回しか、鳩山さんが「今回は幹事長は内閣に入らないでもらうということに決めました」っていう話だったから。やっぱり迷惑はかけたくないし、別に僕は入りたいと思わなかったし、「あ、そうですか」ということになっちゃったんだけど。以来ずっとそのままでしょ。僕じゃない人ならばよかったのかというと、そうではないんだね。ずっと幹事長は内閣に入っていない。
 そういう意味では、小沢先生が代表でいらっしゃったときのイメージ通りにいかない原因というのは、やはり幹事長が内閣に入らなかったことで、政府・与党一体の原則が崩れてしまったことだという指摘はありますね。ただ、なんで鳩山さんが小沢先生を副総理にしなかったのかは――。
小沢 それはわからないと。
 わからないですねえ。鳩山先生にいろいろウィスパー(ささやく)する人がいたんですかね。
小沢 好意的に考えると、彼の説明は反対した人たちを全部取り込みたいと。そういう人事をしたいという説明だったよ、僕に対しては。人事権はもう総理総裁にありますから、「ああ、そうですか」って。
 本人のいないところで個人名を出して批判するのはよくないと思うんですけども、今また藤井裕久さんを党の税制調査会長に起用して、党が政府にかかわりましょうということで使ってらっしゃるのは、私はすごい失敗だったなと思っています。
 藤井さんは党の会合で「君たち一人ひとりの言葉が歴史に刻まれる。そこまでの責任を持ってものを言え」というようなことを言ってらっしゃいました。
 私は既に文部科学副大臣だったので、その会議には出ることはできませんでしたが、もし私が出ていたら「藤井さん、あんたにその言葉そっくり返してやります」って言いたかったんですけどね。だって自由党のときに藤井さんが言っていたことと、今言ってることが違いますからね。先祖返りしちゃったんです。
小沢 先祖返りするんですよ。大蔵官僚にもどっちゃった。
 もう「ザ・財務省」「ザ・大蔵省」になっちゃったというか。
小沢 まあ、もともと叩き込まれた本質だから。
 今回の増税の話が、あれはどうしてあんなに増税したいのかがちょっとよくわからないんですが。過去の歴史からしても、今のようなデフレの状況の中で大増税をして大失敗をしたというのは、ついこの間の日本の歴史の中にもあります。
小沢 ある。
 それからアメリカも世界恐慌のときに、フーヴァー大統領が増税をやってさらに不況を深刻化させています。
小沢 だからレーガンは逆に減税した。レーガノミックスっていってね。大減税して、だけど結果は税収が増えたっていうあのレーガノミックスの例もあるんだけれども。普通は景気が悪いときは減税だよね。
 今でも「消費税は上げられる環境です」と言うのはいったいどういうことなのか。私も副大臣として政府税調の会議にずっと出てきたんですけれども、財務省に質問しても、まともな答えは返ってこないんですね。
小沢 そりゃ、財務省はしょうがないんだよ。財布を預かってるから、取るもの取って出すものを出さないようにと。これは彼らの習性だから。財務省がゆるゆるになっちゃうと歳出圧力だけ強まっちゃうからしょうがない、彼らの立場としては。
 ただ、それをコントロールする能力が政治家にないっていうことだよ。
 ということは、今は本当に政権交代前にお約束していたことと正反対というか、むしろ官僚主導になっている。
小沢 だから「自民党よりひどい」っていう評判になるんだよね。
 国民の皆さんはよく見てる。
小沢 大衆は愚にして賢ですよ。ちゃんと見てる。だから民主党の支持が減ってるんですよ。

虚偽記載で捕まえ、供述調書を虚偽記載
……検察審査会法の前提が崩れている――森


 私も西松建設事件の当初から、素人なりに事件の解説を書いたり、Q&Aを書いたり、檄文を作ったり、独自の調査をやってきました。そして検察審査会のほうに問題が移って、検察審査会事務局が9月14日に議決した審査員の平均年齢を3回も発表したと。
 10人の年齢の合計を11で割るという、ばかばかしい話からスタートして、検察審査員を選定するためのクジ引きソフトを調査したり、調査のおかげでいろんなことがわかってきたんですけれども。
小沢 制度の仕組みとして検察が起訴できない人をなぜ違うところが起訴するんだっていう、その問題があると同時に、それは別にしても日本の民主主義社会にまったく真っ暗闇のベールで包まれてる場があるということね。これがやっぱり非常に不思議なところだね。
 建前から言うと、検察は法務大臣の所管だから、政治家が本気になれば全部情報も出させられる。検察審査会は裁判所の系統でしょ。そうすると政治が全然チェックできないわけだ。それでオープンならいいけど、暗黒でしょ。
 しかも調査の過程でわかったのは、都合が悪くなると「独立した機関です」「情報は非公開です」と。検察審査会法の条文を盾に取って、当然開示してもいいはずの情報まで最高裁が押さえてるんですね。でも実際には、その仕事は裁判所の事務官がやることになっています。実際は最高裁がすべてを押さえている。
 それで私も検察審査会法の改正案を1年半前に作って、民主党の法務部会のワーキングチームに提示したんですが、ちょうど今日参議院の法制局の方にばったり会ったら、「先生、あれをさらに進化させて、もっとやりましょう」と言われたんです。
 小沢先生がおっしゃったように、秘密のベールに包まれているということも問題なんですが、少なくとも検察当局がきちんと法と証拠に基づいて捜査をし、そしてその捜査報告書をきちんと判断材料として提供するということが大前提で、小沢先生の裁判のように、そもそも捜査した側が捜査報告書を提造するとか、供述調書の虚偽記載をしてしまう。
 虚偽記載で捕まえといて、供述調書を虚偽記載するって、もうブラックユーモアなんてもんじゃないですよ。そもそも検察審査会法の前提が崩れている。
 そういうことも考えてもう一回法改正を考えなければいけない。
小沢 仕組みとすると、裁判所が検察審査会の事務局を担うんでしょ? 裁判所が起訴までしちゃうということになってしまった。起訴して自分で判決すると。
 いや、本当にとんでもない話ですよねえ。立法府が国権の最高の機関なわけですから、司法、それからこれは行政権の行使ですけれども検察、それらをもっときちんとチェックしてもいいと思うんです。でも、これをたとえば国会で取り上げると、司法に対する国会、政治の介人っていうふうに批判される。これは的外れだと思うんですよ。
小沢 変ですよ。ちゃんと裁判官訴追委員会も弾劾裁判所も最初から法律で認められてるんだから。主権者の代表として、国権の最高の地位を認められてるんだから、もう少し本当の意味での国政調査権を行使すべきだと、これをもっとはっきりしていいと思う。
 例の前田元検事が小沢先生の裁判、昨年の12月の公判で厳しく検察を批判しました。自分が今検察から追われている立場ということもあるかもしれませんけれども、「取り調べの初日に木村主任検事から『これは特捜部と小沢の全面戦争だ。小沢を挙げられなかったら特捜部の負けだ』と言われた」と証言したり、「検察の書いたストーリーは荒唐無稽な妄想」とまで公判で証言しました。私もそう思うんですが、そのストーリーを書いたのはいったい誰なんでしょう。
小沢 やっぱり、官僚の、変革に対する恐怖心かもしらんね。
 無意識のうちに?・
小沢 いや、それは意識しているんじゃないかな。
 それと、官僚の中でも検察は自分たちが社会正義を実現しなきゃいけないと。自分たちこそ月光仮面だという意識が非常に強いから、他の役所よりも。それで権力持ってるからね。だからそういう行動をしたんじゃないかな。だって最初の西松建設事件だって、具体的な証拠もないのに最初から強制捜査なんだもん。
 何の聞き取りもない見込み捜査ということもよく言われるけど、「やりゃあ、なんか出るだろう」と。
 全部オープンにしてるお金なのに。
小沢 ほんとにもう。
 だから例の記載時期の「期ずれ」の話も、わざわざ裁判公判に会計の専門家を呼んで、私はすごくばかばかしいと思ったんですけど、これは真っ当な会計処理である、問題のない正しい会計処理だと。そんなことをわざわざ専門家を呼ばなきゃわからないような裁判長や指定弁護士、あるいは検察はどうかしてるよって。
小沢 理由はどうであれ、不動産は登記したときに所有権が確定するんだから、そのときに報告して何も悪くないと、こう(会計の専門家が)証言しちゃったんだよね。それをずうっと隠し続けてたならこれは問題だけれども、ちゃんと報告してるわけだから。

「検察の罠」 小沢一郎抹殺計画の真相 ・4
<小沢一郎×森ゆうこ 特別対談②>へつづく
http://nekotomo.at.webry.info/201208/article_7.html

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