「日本の原発危険地帯」を読んで

著者の鎌田慧氏は、ほぼ全国の原発を建設前の段階から自らの足でルポし、原発建設地自治体の知事・市村町長・議員・住民等の推進派・反対派を問わず取材を重ねていく。

住民たちの心を蝕む原発マネー

◇敦賀・美浜・高浜の各原発と、試運転停止中の高速増殖炉「もんじゅ」があり、原発超過密地帯の福井
◇豊後水道へ突き出た愛媛県・佐多岬半島の付け根に、金権力にものいわせて建造された伊方
◇第一・第二を合わせて10基もの原発が建設され、原発銀座と言われることになる福島
◇建設地住民の反対闘争が実を結ぶことなく、今や故田中角栄の負の遺産として存在する柏崎
◇中央と直結した地元政治家に成すがままに翻弄され、典型的な政治力によって原発が導入された島根
◇原発・使用済み核燃料再処理工場・中間貯蔵施設・原子力船寄港地など、核燃料サイクルの拠点であり一大原子力基地となりつつある下北

まず、原発立地の候補地に選ばれるのは、中央から見放され今まで開発から置き去りにされてきた過疎地であることが多い。しかし、そこに住む住民たちは、貧しいながらも自然の恩恵を受けながら、漁業や農業で生計を立ててきた。だが、降り注ぐ原発マネーが住民たちの心を次第に蝕んでいき、連携を狂わし絆をも失っていく。裏切りや寝返りが起き、反対派が切り崩されていく様をつぶさに伝える。そして、気が付いたら、日本全国で54基もの原発が稼動していたのだ。
※福島原発の事故後、停止されているものがあるため、現在の稼動原発は11基(9月4日現在)
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110904/trd11090409190004-n1.htm

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核のゴミ捨て場はどこに?

「原発はトイレのないマンションだ」と、何故このように言われるのか知っている方も多いことだろう。
原発で役目を終えて使用済みになった核燃料が、行き場を失って現在日本には約1万3500トン以上も貯まっている。
http://nekotomo.at.webry.info/201105/article_11.html
その殆んどが各原発の建屋内の貯蔵プールに保管されている状況は、福島原発の事故以降、現在も何ら変わっていない。この使用済み核燃料をフランス・イギリスに再処理してもらい、プルトニウムを取り出したあとの高レベル放射性廃棄物も、六ヶ所村の中間貯蔵施設に運び込まれて貯まる一方だ。
http://nekotomo.at.webry.info/201109/article_7.html
これら核のゴミの最終処分の場所もその方法も、未だに具体策のない状態で今日に至っているのが日本の実情である。謂わば、貯まりに貯まった極めつけの有害ゴミを、現状では全く手がつけられないので、その処分を未来の日本国民に先送りしているだけ、ということなのだ。これが「トイレのないマンション」の所以だ。

鎌田氏はこの本の第8章の「核の生ゴミ捨て場はどこに?」で、政府や電力会社が、使用済み核燃料や放射性核廃棄物の最終処分を研究する目的で建設したと思われる施設をルポしている。下記の三つの地にその施設がある。

◆人形峠環境技術センター
http://www.jaea.go.jp/04/zningyo/


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人形峠は、1955年(昭和30年)に日本で初めてウラン鉱床が発見された場所だ。ウラン鉱山としての活動は1987年(昭和62年)に終了しているが、掘り出した鉱石は約8.6万トンにものぼるという。鉱山としての役割を終えた後、2005年まで原発燃料用のウラン濃縮をしていたようだ。その後のここでの業務は日本原子力研究開発機構が継承しているが、ホームページには具体的な業務の記述が見当たらない。 但し、鉱床の堀跡を原子力機構の地層処分研究施設として利用している可能性は十分に有り得る。

◆東濃地科学センター
http://www.jaea.go.jp/04/tono/index.htm


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◆幌延深地層研究センター
http://www.jaea.go.jp/04/horonobe/


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東濃と幌延の施設も、やはり独立行政法人・日本原子力研究開発機構が管轄している。両施設には共に「深地層研究所」が併設され、放射性廃棄物の地層処分の研究と開発が着々と進められている。そして、その成果とノウハウは既に十二分に蓄積されていることが見てとれる。この地層処分とは、地中の奥深く穴を掘って核のゴミを埋めてしまう最終処分のことだが、是非、各々のホームページをご覧になることをお勧めする。日本における地層処分の研究が、ここまで進んでいることに少なからず驚かれることと思う。

国内の最終処分場は、過去に幾つかの候補地が取り沙汰されてきたが、地元住民の反対にあって公には具体的な建設地はまだ決まっていないことになっている。
(高レベル処分地公募に応じる各地の動き↓)
http://homepage3.nifty.com/ksueda/waste0305.html
しかし、これらの三施設は名目は研究施設ではあるが、機能は十分備えているので、実質的に最終処分場としての役割を果たしている可能性がある。使用済み核燃料や放射性廃棄物が密かに集められ、もう既に地中に埋められているのではないか、というこの疑念はとても払拭できるものではないように思える。

そして、福島原発の事故以降現在に至るまで、警戒区域内における最終処分場建設が目的であるかのような動きが、強引に推し進められている。この区域内をはじめ、原発周辺の詳細な様子がさっぱり伝わってこないのが大変気がかりである。伝えていないと言った方が正確か。先日は1号機建屋を囲むカバー完成のニュースがあったが、やっとこの程度しか報道されてこない。テレビ・新聞・週刊誌等メディアは、突撃取材でもよいから、私たち国民に原発の敷地内・警戒区域内がどんな状況なのか写真や動画で詳しく伝えるくらいの気概を持って欲しいものだ。こんな状況だから、地層処分へ向けて最終処分場の建設が、敷地内において既に始められているのではないかという疑念も持たざるを得ない。上記三施設における研究で蓄積された成果とノウハウを、「福島・核のゴミ捨て場計画」にも活用してくるだろうことは当然予想されるのだから・・・

【 過去の関連記事】
◆着々と進められる「福島・核のゴミ捨て場計画」
http://nekotomo.at.webry.info/201110/article_10.html
◆電力を原発に頼る危うさ・日本編② 高レベル放射性廃棄物のゆくえ
http://nekotomo.at.webry.info/201109/article_7.html
◆汚染がれき 福島・広野町に搬入計画②
http://nekotomo.at.webry.info/201109/article_4.html
◆汚染がれき 福島・広野町に搬入計画①
http://nekotomo.at.webry.info/201109/article_3.html
◆警戒区域の高線量地を国有化するという政府の本当のねらいは、 核廃棄物最終処分場の建設
http://nekotomo.at.webry.info/201108/article_8.html
◆放射性核廃棄物の処分場建設計画が着々と進められている
http://nekotomo.at.webry.info/201105/article_15.html
◆菅政府と東電は、福島を核廃棄物の 最終処分場にするつもりではないのか
http://nekotomo.at.webry.info/201104/article_13.html

【関連ブログ】
◆フクシマを放射性廃棄物の処分場にしてはいけない!
http://sensouhantai.blog25.fc2.com/blog-entry-1111.html
◆「フクシマを核処分場にする計画」を改めて検証してみる
http://sensouhantai.blog25.fc2.com/blog-entry-1023.html
◆原発推進の正体は「日本列島を核の墓場にする計画」だったのではないか
http://sensouhantai.blog25.fc2.com/blog-entry-1011.html


日本の原発危険地帯
青志社
鎌田慧


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