「野菜が壊れる」を読んで・2

「野菜が壊れる」の中で筆者が力説する重要なことは、『地球上での植物や動物など生き物たちの営みは、自然の中で互いに連鎖・連携している』とういう理念である。この本はその理念を前提に、農業が農薬や化学肥料を使わざるを得ないシステムに組み込まれてきたことで、今、人間も含めて生態系全般に起こりつつある危機的な現状を認識し、土壌作りの根本から日本及び世界の農業を改めなければならないと説いている。

いくつか衝撃的な記述があるので、転載させていただいた。
外国産の野菜より国内産の野菜のほうが安全だろう、と思っていた常識が覆された。この本では農薬の使用量が、実は日本がダントツのトップだと述べているのだ。



だから野菜は国内産?

「だから野菜は国内産しか買いません」
と言う人もいるのですが、耕地当たりの農薬使用量をみると、実は日本は世界一です。
 OECD(経済協カ開発機構)が公表している二〇〇〇年の国別面積当たり使用量平均値のデータ〈図-3、公表は二〇〇二年〉では、日本がダントツのトップ。フランスやイギリスの約二・五倍、ドイツの五倍、アメリカの実に七倍の農薬を使用しています。ちなみに一般的に「農薬」には、除草剤、殺虫剤、殺鼠剤、防ばい剤(カビ防止)、それに植物ホルモンなどの植物成長調整剤を含みます。
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    耕地面積あたりの農薬使用量比較

 農薬の注意書きには、使い方、効果、薬害、安全使用上の注意、保管方法、希釈倍数などが書かれていますが、びっしり紙面を埋める細かい文字にすべて目を通すことなどできるものではありません。高齢化する農村では、希釈倍数などについて誤解や勘違いをしてしまったり、誤った使用方法を信じ込んでいたり、知識不足というケーースもあります。さらに、病害虫は少しずつ抵抗力をつけるので、「やり過ぎで作物に薬害が出ないかぎりは、ついつい多めになり、たいてい三、四倍にして使っている」という農家も少なくないのです。
 それに比べれば中国などはまだまだ少ないほうです。皮肉なことですが、地方部に行けば農薬や化学肥料を買うことのできる裕福な農家は多くありません。貧しい農家ではいまも昔ながらの牛糞や豚糞を使っています。結局、国産品と輸入品のどちらが安全かは一概にはいえません。
 消費者の立場からいえば、「こんなにも食の安全が求められるいま、どうして農薬使用について見直しがされないのか?」と思うかもしれません。
 農家の人々だって、農薬が身体にも上にも野菜にもよいとは思ってはいません。自分の家で食べるものには農薬を使わないところが圧倒的多数を占めます。親しい人に野菜を分ける際には、「これ、一つも消毒してないからね」と言います。いくら理論やデータを使って効能を説明されていても、身体感覚としては納得しきれないものが確実にあるのです。何より、農家の人々自身、農薬散布の際に、目がチカチカする、頭が痛くなる、気分が悪くなるなどの健康障害を経験しているのですから。
 しかし、政府も農学者たちも、農薬の必要性と安全性を農家に説きつづけてきました。農業大学や大学農学部では、現在も、「農薬は危険性ばかりが注目されているが」という前置きを付けてはいますが、農薬が農家の負担を減らすこと、付加価値の高い農産物には農薬が欠かせないことが説かれています。
 内閣府食品安全委員会事務局がつくった『気になる農薬‐II安心して食べられる?』(NHKエンタープライズ制作、二〇〇七年)というDVDでは↓
http://www.gov-online.go.jp/useful/video/kininaru_nouyaku/play.html
農薬について疑問に思った母娘が、さまざまな「正しい」情報を得て、いかに農薬が必要なものか、いかに人間の安全を考えて農薬がつくられ、使われているか、いかに残留が少ないかを知る過程が描かれています。これは消費者を説得するものであると同時に、農家の人々の罪悪感を軽減させる目的もあるように思えてなりません。




農業に、農薬や化学肥料を大量に使うことが一般的になっている今、世界中の土が荒れてしまった。そんな土からできた破壊された野菜を、私たちは毎日食べているのかと思うと何ともやりきれない。
文中で筆者は、「まだ間に合う、今しかない」と力説しているが・・・
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↓「野菜が壊れる」を読んで・1
http://nekotomo.at.webry.info/201101/article_5.html

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